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【2026年】個人事業主はiDeCoとNISAどっち?併用の順番と改正後の上限

会社員には退職金や企業年金がありますが、個人事業主にはどちらもありません。年金も国民年金だけなので、老後のお金は自分で作ることになります。その手段としてよく比べられるのが、iDeCo(イデコ)とNISAです。

どっちを優先するかは、「そのお金を60歳より前に使う可能性があるか」で決まります。使うかもしれないお金はNISA、老後にしか使わないと言い切れる分だけをiDeCoに回すのが基本です。

順番で言えば、生活防衛資金を確保して、NISAの積立を安定させてから、iDeCoを足す。収入が月ごとに揺れる個人事業主ほど、この順番を守る意味が大きくなります。

そのうえで、退職金も厚生年金もない個人事業主にとって、iDeCoは会社員以上に恩恵の大きい制度です。2026年12月分の掛金からは上限が月6.8万円から月7.5万円に引き上げられ、枠はさらに広がります。

私自身、個人事業主としてNISAの積立は続けていますが、iDeCoはまだ始めていません。この記事では、退職金代わりのお金をどう作るかという目線で制度の違いと注意点を整理し、私が実際にどこで迷っているのかも正直に書いておきます。

結論:個人事業主はiDeCoとNISAどっちを優先すべきか

NISAとiDeCoは併用できるので、どちらか一方を選ぶというより「どちらから先に始めて、いつ併用に移るか」が問題です。個人事業主の場合は、次の3つの段階で考えると分かりやすくなります。

  1. NISAだけで始める段階:生活防衛資金がまだ心もとない、収入の波が大きい、60歳前に住宅・教育・事業資金などで使う可能性がある
  2. NISAとiDeCoを併用する段階:NISAの積立が安定していて、それとは別に「60歳まで触らなくていいお金」を毎月出せる。所得税・住民税の負担が重いと感じ始めている
  3. 小規模企業共済まで足す段階:併用してもまだ余力があり、退職金にあたるお金を厚くしたい、所得控除をさらに積み増したい

最初からiDeCoだけで始める選択肢を挙げていないのは、iDeCoに入れたお金は60歳まで引き出せないからです。収入が読みづらい個人事業主は、いつでも使えるNISAを土台にしてからiDeCoを重ねるほうが、途中で積立が苦しくなりにくくなります。

退職金がない個人事業主は、老後資金を3つの制度で作る

会社員なら、退職金や企業年金が会社の制度として用意されています。個人事業主にはそれがないので、同じ役割を自分で組み立てることになります。そのとき中心になるのが、NISA・iDeCo・小規模企業共済の3つです。

私も会社員から個人事業主になったとき、いちばん実感したのがここでした。「会社の制度に乗っていれば用意されていたもの」が、全部自分の仕事に変わる。どの制度にどんな役割を持たせるかを先に決めておくと、掛金の配分で迷いにくくなります。

制度会社員でいうと引き出せる時期掛金の扱い
NISA自分の貯蓄・投資いつでも控除なし(運用益が非課税)
iDeCo企業年金原則60歳以降全額が所得控除
小規模企業共済退職金廃業・退職時など全額が所得控除

NISAは「いつでも使える資産」、iDeCoは「自分で用意する企業年金」、小規模企業共済は「自分で用意する退職金」と考えると、それぞれの立ち位置がはっきりします。

iDeCoと小規模企業共済は、どちらも老後まで動かさない前提のお金です。NISAが育っていないうちにここへ多く回すと、事業の資金繰りが厳しい月に手が打てなくなります。だから順番は、NISAが先になります。

個人事業主のiDeCo上限は2026年12月から月7.5万円に

個人事業主(国民年金の第1号被保険者)のiDeCoの掛金上限は、改正前は月6.8万円です。2025年の税制改正と年金制度改正法を受けて、2026年12月1日の施行で次のように変わります。

項目改正前改正後
掛金の上限(国民年金基金・付加保険料と合算)月6.8万円(年81.6万円)月7.5万円(年90万円)
付加保険料を納めている場合の上限の目安月6.7万円月7.4万円
加入できる年齢原則60歳未満条件を満たせば70歳未満まで

新しい上限が使えるのは2026年12月分の掛金からで、口座からの引き落としとしては2027年1月分からになります。ニュースで「12月から」「1月から」と両方の言い方を見かけるのはこのためです。

上限が上がっても、掛金は自動では増えません。増額したい人は、加入している金融機関で掛金額の変更手続きが必要です。金融機関によっては、12月分からの増額を前もって申し込める受付をしているので、増やすつもりの人は早めに確認しておくと安心です。

そして、7.5万円はiDeCoだけの枠ではありません。国民年金基金や国民年金の付加保険料と合算した枠なので、たとえば国民年金基金に月2万円払っている人がiDeCoに使えるのは、残りの5.5万円です。「満額までiDeCoに入れられる」とは限らない点は、個人事業主が最も見落としやすいところです。

iDeCoとNISAの違い|個人事業主の目線で比較

観点iDeCoNISA
制度の性格私的年金投資の非課税制度
引き出せる時期原則60歳以降いつでも
掛金の所得控除あり(全額)なし
運用益非課税非課税
受け取るとき一時金は退職所得、年金は雑所得として控除あり非課税のまま
個人事業主の枠月7.5万円(2026年12月分〜、合算枠)年360万円
手数料加入時・毎月の手数料がかかる口座管理手数料は原則無料
確定申告掛金の控除を申告する不要

最大の違いは、iDeCoには「掛金が全額所得控除になる」という強い節税効果がある代わりに、原則60歳まで引き出せないことです。NISAは節税効果こそ運用益の非課税だけですが、必要なときにいつでも現金に戻せます。

NISAの始め方や、個人事業主が気をつけたい納税資金との分け方は、別の記事でくわしくまとめています。これからNISAの口座を作る段階の人は、先にこちらを読んでおくと順番を組み立てやすくなります。

iDeCoで所得税・住民税はどれくらい軽くなるか

iDeCoの掛金は全額が所得から差し引かれます。節税額のざっくりした目安は「掛金 ×(所得税率+住民税率10%)」です。所得税率が10%の人なら、次のくらいになります。

掛金年間の掛金年間の節税額の目安
月5,000円6万円約1.2万円
月1万円12万円約2.4万円
月3万円36万円約7.2万円
月7.5万円(改正後の満額)90万円約18万円

課税所得が大きく所得税率が高い人ほど、同じ掛金でも節税額は大きくなります。退職金代わりのお金を積み立てながら、毎年の税金も軽くできる。iDeCoが個人事業主に向いていると言われるのは、この二つを同時にこなせるからです。

個人事業主がiDeCoを始める前に知っておきたい注意点

収入の波と「60歳まで引き出せない」の相性

会社員は毎月の給与が安定しているので、掛金を固定費として引いても生活への影響が読みやすいです。個人事業主は違います。良い月もあれば厳しい月もあり、私自身、1年働けない時期もありました。

iDeCoは掛金の減額や停止はできても、積み立てたお金を途中で引き出すことは原則できません。「どんな月でも払い続けられて、しかも60歳まで触らなくて平気な額」を、会社員時代より慎重に決める必要があります。

収入の読めなさが気になる人は、毎月払いではなく年1回のまとめ払い(年単位拠出)を選ぶ手もあります。1年の売上がある程度見えてから払えるので、個人事業主とは相性のいい払い方です。

国民健康保険料は下がらない

iDeCoの所得控除で下がるのは所得税と住民税です。国民健康保険料は所得控除を差し引く前の所得をもとに計算されるため、iDeCoの掛金を増やしても国保は基本的に下がりません。

「iDeCoで社会保険料まで安くなる」と思っていると、節税効果を過大に見積もってしまいます。会社員向けの記事ではあまり触れられない、個人事業主特有のポイントです。

iDeCoの掛金は経費にならない(勘定科目・仕訳・確定申告)

iDeCoの掛金は、事業の経費ではなく個人の所得控除です。事業用の口座から掛金を引き落としている場合、勘定科目は「事業主貸」で仕訳し、確定申告で「小規模企業共済等掛金控除」として申告します。

申告には、国民年金基金連合会から毎年10月ごろに届く「小規模企業共済等掛金払込証明書」を使います。マイナポータルで電子データとして受け取ることもでき、e-Taxで申告するなら手入力の手間が減ります。紙で受け取る場合は、確定申告の時期までなくさずに保管しておきましょう。

事業主貸の仕訳は、会計ソフトを使っていれば迷わず入力できます。帳簿づけの方法やソフトの選び方は、こちらの記事にまとめています。

ちなみにNISAも経費にはなりませんし、NISA口座の運用益は非課税なので、NISAのために確定申告をする必要もありません。

iDeCo・NISA・小規模企業共済の併用|どの順番で使うか

個人事業主の老後資金づくりでは、iDeCoとNISAのほかに、小規模企業共済と国民年金基金もよく候補に挙がります。それぞれ、iDeCoの枠との関係が違います。

制度iDeCoとの枠の関係特徴
小規模企業共済別枠(併用しても枠を食い合わない)個人事業主の退職金代わり。掛金は月1,000〜7万円で全額所得控除。納付20年未満で任意解約すると元本割れする
国民年金基金iDeCoと合算で月7.5万円(2026年12月分〜)受け取る年金額があらかじめ確定している。付加保険料とは併用できない
付加保険料iDeCoとの合算枠の対象月400円で、将来の年金額に上乗せされる

使う順番の考え方は、次のとおりです。

  1. 生活防衛資金を、会社員より多めに確保する
  2. NISAで、いつでも引き出せる資産を積み立てる
  3. 老後の年金を厚くしたい分をiDeCoに、退職金を厚くしたい分を小規模企業共済に足す

iDeCoと小規模企業共済は枠が別なので、両方使えば所得控除をさらに積み増せます。ただし、どちらも途中で自由に引き出せないお金です。併用するほど節税効果は大きくなりますが、手元で動かせるお金は減っていきます。

また、iDeCoも小規模企業共済も、一括で受け取ると退職所得として扱われます。受け取る年が近いと退職所得控除の使い方に影響するので、出口が近づいたら、受け取る順番と時期を税務署や税理士に確認するのが安全です。

私がまだiDeCoを始めていない理由(夫婦で迷った体験談)

ここからは、私自身の話です。

生活防衛資金が整い、NISAの積立額も戻せるめどが立ってきたころ、次に気になったのがiDeCoでした。退職金がないこと、12月の改正で枠が広がることが重なって、「自分も検討したほうがいいのかな」と思い始めたのがきっかけです。

妻は「私はいいかな」だった

まず妻に「iDeCoって、やる?」と聞いてみました。返ってきたのは「うーん、私はいいかな」でした。

理由を聞くと、「60歳まで引き出せないのがちょっと怖い」「今の積立を放置しておけば十分じゃない?」「老後のことより、今の積立を続けるだけで精一杯」。どれも納得感のある理由でした。

妻は5年ほど、楽天VTIの積立をほぼ放置で続けています。相場も見ないし、銘柄にも迷わない。妻にとっては、これ以上「投資の手数を増やすこと」自体がストレスなんだろうと思います。

夫婦で投資の熱量が違うのはよくある話で、私たちもそうです。だから、夫婦そろってiDeCoを始めるのは見送り、やるとしても私だけ、妻には無理に勧めない。これが最初に決めた方針でした。

掛金をいくらにするか決めきれない

改正後の満額の月7.5万円は、私には重すぎます。NISAの積立を戻していく途中で、そこにiDeCoを上乗せするなら、現実的なのは月5,000円〜1万円のスタートだと考えています。ただ、節税効果を考えるともう少し増やしたほうがいいのかもしれず、ここの線引きがまだ決まりません。

「やらない」も選択肢として残している

NISAは運用益が非課税で、いつでも引き出せます。収入の読みづらい個人事業主が自由度を優先するのは、十分ありえる判断です。

1年働けない時期を経験した身としては、「いつでも使えるお金」の安心感を軽く見られません。NISAの積立がまだ「戻している途中」の今は、iDeCoを足す段階ではないのかもしれない。「今じゃない」という結論もありえると思っています。

決まっていること

やるなら、商品はオルカン一本にするつもりです。NISAでもオルカンを積み立てているので、iDeCoも同じにしたほうがシンプルで続けやすいからです。

金融機関は、普段から使っているSBI証券と楽天証券が候補です。手数料・商品ラインナップ・使いやすさを見比べてから決めます。運用で増減するiDeCoと、受け取る額が確定する国民年金基金のどちらが自分に合うかも、決める前に整理しておきたい宿題です。

始める時期は、改正を待つかどうかより「毎月払い続けられる額が決まったとき」が始めどきだと考えています。私の想定する掛金額なら、上限の引き上げはあまり関係がないからです。

よくある質問

退職金代わりにするなら、iDeCoと小規模企業共済どっちが先?

どちらも一括で受け取れば退職所得になり、掛金も全額が所得控除になります。違いは引き出しやすさで、小規模企業共済は契約者貸付で事業資金を借りられますが、iDeCoには借りる仕組みがありません。事業の資金繰りに不安がある人は小規模企業共済、年金として受け取る形で老後を厚くしたい人はiDeCoから、という分け方が目安です。どちらも、NISAの積立が安定してから足すのが前提です。

個人事業主の妻(専従者)もiDeCoに入れる?

国民年金の第1号被保険者であれば、妻も本人としてiDeCoに加入できます。ただし掛金の所得控除を受けられるのは加入者本人だけです。夫が妻の分を払っても夫の控除にはならず、妻自身の所得が少なければ節税効果も小さくなります。

60歳以上でもiDeCoに加入できる?

2026年12月の改正で、条件を満たす人は70歳未満までiDeCoを続けられるようになります。ただし対象になるのは、60歳の時点ですでにiDeCoの加入者か運用指図者だった人などで、老齢基礎年金やiDeCoの給付をまだ受け取っていないことも条件です。60歳を過ぎてから初めて始められる制度ではないので、70歳まで積み立てたい人は60歳より前に始めておく必要があります。

法人化したらiDeCoはどうなる?

法人化して厚生年金に入ると、国民年金の区分が第2号に変わり、上限も会社員と同じ枠組みになります。資格が変わるので、iDeCoの加入先で登録内容の変更手続きが必要です。

iDeCoの掛金はあとから変えられる?

変えられます。変更できるのは原則として1年に1回までなので、収入の見通しが立つタイミングで見直すのがおすすめです。

NISAは確定申告が必要?

NISA口座の中の売却益や配当は非課税なので、確定申告は必要ありません。

まとめ

  • 60歳前に使う可能性があるお金はNISA、老後にしか使わないと言い切れる分だけiDeCo
  • 退職金がない個人事業主は、NISA=いつでも使える資産、iDeCo=自分で作る企業年金、小規模企業共済=自分で作る退職金、と役割を分けて考える
  • 順番は「生活防衛資金 → NISAの積立を安定させる → iDeCoや小規模企業共済を足す」
  • 個人事業主のiDeCo上限は、2026年12月分から国民年金基金・付加保険料と合算で月7.5万円(掛金は自動では増えない)
  • iDeCoで下がるのは所得税・住民税で、国民健康保険料は下がらない
  • 掛金は経費ではなく所得控除。仕訳は事業主貸、確定申告で小規模企業共済等掛金控除として申告する

iDeCoを始めるかどうか、私はまだ決めていません。ただ、投資は急いで決めるものでも、誰かに勧められて始めるものでもないと思っています。自分の状況と納得感と順番で進めるのが、結局はいちばん長く続きます。

同じように迷っている個人事業主の方がいたら、ゆっくり決めていいと思います。私も決まったら、またこの記事に追記します。

iDeCoが手取りを増やす順番のどこに入るかは、トップページのSTEP3 年金の上乗せを固めるで、付加年金・国民年金基金と並べて整理しています。小規模企業共済はSTEP2 共済で積み立てながら減らす、NISAはSTEP5 非課税で増やすです。

参考

※この記事は個人の体験と調べた内容をもとにしたもので、特定の金融商品を推奨するものではありません。制度の内容は2026年10月時点の情報です。投資は自己責任でお願いいたします。

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