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【2026年版】新NISAの基本と使い方|個人事業主が知っておきたい枠の使い分け

「新NISA、なんとなく始めたけど、枠の使い分けは正直よくわかっていない」 「個人事業主だと、NISAで何に気をつければいいんだろう」

私も開業したころは、ここがよくわかっていませんでした。

個人事業主には退職金も厚生年金もないので、老後のお金は自分で作ることになります。その土台になるのが、いつでも引き出せて、利益に税金がかからない新NISAです。

この記事では、新NISAの制度の全体像と2027年からの変更点を押さえたうえで、個人事業主として使うときに気をつけたいこと、枠の使い分けと始め方までをまとめます。節税の流れ全体の中でNISAがどの段階に入るのかは、トップページのSTEP5 非課税で増やすで整理しているので、先にそちらを読んでもらうと理解しやすいと思います。

新NISAをひとことで言うと

新NISAは、投資で得た利益(値上がり益・配当)にかかる税金が、ずっとゼロになる制度です。通常は約20%(正確には20.315%)の税金が引かれるところ、それが非課税になります。長期で資産形成をするなら、まず使いたい制度です。

2024年1月にスタートし、利用はかなり広がってきました。金融庁の調査では、NISA口座は2026年6月末時点で約3,048万口座と、3,000万口座を超えています。もう「やっている人が特別」という段階ではなく、資産形成の標準装備になりつつあります。

制度の全体像(2026年時点)

新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つがあり、併用できるのが大きな特徴です。基本スペックを表で整理します。

項目つみたて投資枠成長投資枠
年間投資枠120万円240万円
年間の合計最大360万円(2枠合計)
生涯の非課税保有限度額1,800万円(2枠合計)うち成長投資枠は1,200万円まで
非課税保有期間無期限無期限
対象年齢18歳以上18歳以上
対象商品長期・積立・分散に適した一定の投資信託上場株式・ETF・REIT・投資信託など

噛み砕くと、1年で最大360万円まで投資でき、生涯では1,800万円まで(うち成長投資枠だけで使えるのは1,200万円まで)。非課税期間は無期限で、制度自体も恒久化されています。

旧制度のように「数年で非課税期間が終わる」という焦りがなくなったのが、新NISAのいちばんの安心材料です。退職金のように何十年もかけて育てるお金を置く場所として、期限がないことは大きな意味を持ちます。

2027年から変わること

新NISAは、スタート後も改善が続いています。ここで一点、よく誤解されているので先に整理しましょう。

2025年12月の税制改正大綱で決まり、2026年の改正法で成立した変更は、施行が2027年1月1日です。「これから決まるかどうか」ではなく「すでに決まっていて、適用を待っている」段階です。ネット上には2026年に変わると書いている記事もありますが、実際に使えるようになるのは2027年からです。

主な変更点は3つです。

こどもNISAの新設

つみたて投資枠の年齢要件がなくなり、0歳から17歳でも口座を持てるようになります。年間投資枠は60万円、非課税保有限度額は600万円です。使えるのはつみたて投資枠の商品だけで、買い方も毎月決まった額を積み立てる形に限られます。

払い出しは、12歳以上で、子ども本人の教育費や生活費に使うと確認できれば可能です。18歳になると、通常の成人向けNISAのつみたて投資枠へ自動的に移行します。2026年10月から、口座開設の申し込みを先行して受け付けている証券会社もあります。

2023年末でジュニアNISAが終わってから空いていた「未成年の非課税投資」を埋める制度です。お子さんがいる家庭は、大学資金などの準備手段としてチェックしておく価値があります。我が家もこれから子育てを考えるときに、頭に入れておきたい制度です。

対象商品の拡充

つみたて投資枠で選べる商品が広がります。対象となる株式指数に読売株価指数(読売333)やJPXプライム150指数などが加わり、これまで「主に株式に投資するもの」に限られていた対象が、「主に株式又は公社債に投資するもの」へと広がります。

ざっくり言うと、つみたて枠だけで債券中心やバランス型の投資信託も選びやすくなる方向です。ただし、どの商品が対象になるかの細かな基準は金融庁の告示などで決まるので、「債券ならなんでも買える」と考えるのは早計です。

所在地確認の手続きの簡素化

これまで金融機関は、口座開設後10年ごと(その後は5年ごと)に郵送などで住所を確認する必要がありました。確認できないと新規の買付が止まってしまう仕組みです。この定期確認がなくなり、利用者と金融機関の両方の負担が軽くなります。

注意:売却枠の即時復活は見送り

売却した非課税枠を、その年のうちに復活させる仕組みは金融庁が要望していましたが、今回の改正には入りませんでした。売却枠の復活は、引き続き「翌年」です(しくみは後の章で説明します)。

個人事業主がNISAを使うときに知っておきたいこと

ここからが、会社員向けのNISA解説ではあまり触れられない部分です。

NISAの利益は、国保にも住民税にも影響しない

NISAの中で出た利益は非課税なので、確定申告にも出てきません。住民税の所得にも、国民健康保険料の計算にも入りません。

課税口座(特定口座)で投資している場合も、源泉徴収ありで申告しなければ同じように国保には含まれません。ただ、損益通算などのために確定申告をすると話が変わります。2023年分からは所得税と住民税で課税方式を分けられなくなり、所得税で申告した株の利益は住民税の所得にも入って、国保の保険料にも反映されます。

会社員の健康保険は給与で決まりますが、個人事業主の国保は所得で決まります。投資の利益が保険料にまで届くかどうかは、会社員より個人事業主のほうがずっと大きな差になります。そう考えると、NISAの枠を先に使っておく意味は大きいと思います。

生活防衛資金には、納税資金も足しておく

新NISAを始める前に、もっと大事なのが生活防衛資金です。投資である以上、価格は上下します。相場が下がっているときに生活費が足りなくなって売る、というのがいちばん避けたい形です。

個人事業主の場合、ここにもう一つ足しておきたいのが納税資金です。会社員なら税金は給料から天引きされますが、個人事業主は確定申告のあとに所得税をまとめて払い、住民税や国保も後から請求が来ます。生活費の数か月分に加えて、次に払う税金と国保の分も、投資とは別に置いておくのが安心です。

私は事業用と生活用で口座を分けていて、納税資金は事業用の口座に残すようにしています。口座の分け方は、トップページのSTEP0 手取りの構造を知るで書いています。

置き場所として使っているのは、ドコモSMTBネット銀行(旧・住信SBIネット銀行)、楽天銀行、三井住友銀行です。ドコモSMTBネット銀行はSBI証券と、楽天銀行は楽天証券と連携でき、三井住友銀行も三井住友カードやSBI証券と組み合わせやすい銀行です。証券口座と同じ系列の銀行を持っておくと、積立の入金や、いざというときの出金がスムーズになります。

口座が増えると全体が見えにくくなるので、残高はマネーフォワード MEでまとめて確認しています。銀行口座とNISA口座を一つの画面で見られるので、「生活防衛資金と納税資金を残したうえで、投資に回せているか」を確かめやすくなります。

iDeCoや小規模企業共済より、NISAを先にしている理由

個人事業主が老後のお金を作る制度には、NISAのほかにiDeCoや小規模企業共済があります。掛金が全額所得控除になるので、所得税と住民税を下げる効果はこちらのほうが大きいです。

それでも私は、今はNISAを優先しています。理由は流動性です。iDeCoは原則60歳まで引き出せず、小規模企業共済も納めた期間が短いうちに解約すると元本を下回ります。売上が読みきれない時期は、いざというときに引き出せるNISAを土台にしておくほうが安心だと判断しました。

3つの制度をどの順番で、どう併用するか。iDeCoの2026年12月からの上限や、国保が下がらない・掛金が経費にならないといった注意点も含めて、こちらの記事で詳しくまとめています。

インデックス投資での枠の使い分け

私は米国株・全世界株のインデックスを軸にしていて、枠の使い分けは次のように考えています。

つみたて投資枠は、コア(守りの主役)

S&P500や全世界株(オルカン)のインデックス投資信託を、ここで淡々と積み立てます。長期・積立・分散の王道を作る場所で、新NISAの主役はここだと思っています。

成長投資枠は、コアの上乗せかサテライト

成長投資枠は自由度が高く、ETFや個別株も買えます。使い方は2パターンです。

ひとつは、コアの上乗せ。つみたて枠と同じインデックス投資信託を成長投資枠でも買い増して、入金力を最大化する使い方です。もうひとつは、サテライト。米国株ETFや高配当株など、少し色をつけたい部分に使います。

迷ったら、両枠ともインデックスでコアを厚くする。これが、初心者から中級者にとっていちばん再現性の高い使い方だと思います。攻めた投資をするのは、その土台ができてからで十分です。

売却枠は翌年、簿価ベースで復活する

新NISAでは、保有していた商品を売却すると、その分の非課税枠が翌年に復活します。ここで大事なのが、復活するのは「買ったときの値段(簿価)」ベースだということです。

たとえば100万円で買った投資信託が150万円に値上がりし、それを売却したとします。このとき翌年に復活するのは、利益込みの150万円ではなく、取得時の100万円分です。

この仕組みのおかげで、事業資金やライフイベントで一度引き出しても、翌年以降にまた非課税枠を使い直せます。ただし「年内に即復活」ではないので、枠を使い切っている人が同じ年に乗り換えたい場合は、その年の年間投資枠の制約を受ける点に注意してください。

始め方:迷ったらこの順番

最後に、具体的な始め方を順番にまとめます。

  1. 生活防衛資金と、次に払う税金・国保の分を確保する(投資はその後)
  2. 証券口座(NISA口座)を開設する。手数料の安いネット証券が基本です
  3. つみたて投資枠で、インデックス投資信託の積立を設定する(まずはここだけでOK)
  4. 余裕が出たら、成長投資枠でコアを上乗せするか、少額でサテライトに挑戦する

証券口座は、我が家は私がSBI証券、妻が楽天証券と、夫婦で別々のところを使っています。NISA口座は1人1口座なので、夫婦でも一本化はできません。どちらも手数料が安く、投資信託の品ぞろえも十分なので、どこを選んでも大きな失敗にはなりにくいと思います。ポイントや使い慣れたサービスで決めてしまって大丈夫です。

積立はクレジットカードでも設定できます。SBI証券なら三井住友カード、楽天証券なら楽天カードで積み立てると、積立額に応じてポイントが貯まります。我が家もそれぞれカードで積み立てています。ポイントの還元率はカードの種類や条件で変わり、見直しも多いので、申し込む前に各社の最新の条件を確認してください。

積立の引き落としは、事業用ではなく生活用の口座からにしておくと、帳簿がすっきりします。事業用の口座から引き落とすと、会計ソフトでは毎回「事業主貸」として処理することになるからです。私はマネーフォワード クラウド確定申告で記帳していますが、事業用の口座に投資の引き落としが混ざらないだけで、仕訳の確認がかなり楽になります。

会計ソフトをまだ決めていない人や、事業用と生活用のお金の分け方を整えたい人は、こちらも参考にしてください。

最初から全部やろうとしないことが、続けるコツだと思います。「つみたて枠でインデックスを積み立てる」一歩を踏み出すだけで、新NISAの恩恵の大部分は受けられます。

もっと学びたい方へ

制度の仕組みや投資の考え方をもう少し深く知りたい方に、私が実際に読んだ本を挙げておきます。

新NISAの制度まで含めて読める本

『超改訂版 難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』は、経済評論家の山崎元さんに、お金の素人である大橋弘祐さんが質問していく対話形式の本です。2023年12月に新NISA対応版が出ています。専門用語が少なく、最初の一冊としていちばん入りやすいと思います。「インデックス投資信託を、NISAで、淡々と」という、この記事の考え方とも重なります。

『改訂版 お金は寝かせて増やしなさい』は、インデックス投資を長年続けてきた水瀬ケンイチさんの本で、2024年2月に新NISA対応の改訂版が出ました。始め方だけでなく、暴落のときの向き合い方や出口の考え方まで扱っているので、積立を始めたあとに読み返す価値があります。

『改訂版 本当の自由を手に入れる お金の大学』は、両@リベ大学長の本で、2024年11月に改訂版が出ています。「貯める・稼ぐ・増やす・守る・使う」の5つの力に分けて、お金の基本を幅広く扱っています。新NISAだけでなく、証券口座やクレジットカードの選び方まで載っているので、家計全体を見直したい方に向いています。

制度に左右されない、考え方の本

『サイコロジー・オブ・マネー』は、モーガン・ハウセルによる、お金との向き合い方の本です。投資のテクニックではなく、なぜ人はお金で失敗するのかを扱っています。生活防衛資金を先に確保する、続けられる金額で積み立てる、というこの記事の順番の話を、別の角度から補強してくれます。

『ウォール街のランダム・ウォーカー』は、バートン・マルキールによるインデックス投資の古典です。なぜ個別株を選ぶより市場全体を買うほうが合理的なのかを、歴史とデータから説明しています。改訂が繰り返されている本なので、買うなら最新版を選んでください。

『全面改訂 第3版 ほったらかし投資術』は、山崎元さんと水瀬ケンイチさんの共著です。インデックス投資をできるだけ手間なく続ける方法をまとめた本で、考え方は今でも十分通用します。ただし2022年の版なので、新NISAが始まる前の制度で書かれています。制度の部分はこの記事や金融庁のサイトで確認しながら読んでください。

まとめ

新NISAは、年間最大360万円・生涯1,800万円まで非課税で、期間も無期限という、資産形成の土台にすべき制度です。2027年にはこどもNISAの新設や対象商品の拡充も控えていて、さらに使いやすくなっていきます。

退職金がない個人事業主にとっては、利益が国保や住民税に響かないこと、いつでも引き出せることの2つが、会社員以上に大きな意味を持ちます。まずは生活費と納税資金を分けて確保し、そのうえで口座を作って、つみたて枠の積立を始めるところから。iDeCoや小規模企業共済を足すのは、その積立が安定してからで十分です。

NISAの前に整えておきたい経費や青色申告、共済やiDeCoまで含めた手取りを増やす順番は、トップページのSTEP0から順にまとめています。

※本記事は2026年10月時点の情報をもとに執筆しています。制度の内容・改正の施行時期・非課税枠などは変更される場合があるため、最新の情報は金融庁や各金融機関の公式サイトをご確認ください。

※当サイトは特定の金融商品や口座開設を推奨するものではありません。投資は元本割れの可能性があり、最終的な判断はご自身の責任でお願いいたします。

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